こんにちは、BSIの中村一明です。
自動車業界では、新しい技術の進展に伴い、情報セキュリティがますます重要になってきています。その中核となるのが「TISAXⓇ」(Trusted Information Security Assessment Exchange)という基準です。この基準は自動車業界独自のセキュリティ要件を満たすことを目指していますが、詳しくない人には内容やその意味がすぐにはわかりにくいかもしれません。今回のコラムでは、最近更新された重要な部分であるVDA ISA Ver.6についてお話します。
なぜTISAXⓇが重要なのか?
自動車業界では、設計から製造、アフターサービスに至るまで、さまざまな機密情報がやり取りされます。これらの情報が適切に守られなければ、知的財産の盗用やデータの漏洩などのリスクが生じる可能性があります。TISAXⓇはこれらのリスクを減らし、自動車業界の情報セキュリティ基準を提供する役割を果たします。また、TISAXⓇ認証を取得することは、他の企業との信頼関係を築く上で非常に重要です。
VDA ISA Ver.6の重要性と実施時期
昨年の12月に公開されたVDA ISA Ver.6は、自動車業界のセキュリティ基準をさらに強化するものです。この更新版では、特にサプライチェーンを通じた情報の漏えいリスクへの対応が強化されています。また、最新のサイバーセキュリティの脅威への対応策も盛り込まれており、OEMだけでなく、サプライヤや関連組織にも大きな影響があります。注意すべき点は、VDA ISA Ver.6が2024年4月1日からの新しい契約に適用されます。
BSIグループジャパンは、日本人審査員による日本語のTISAXⓇ審査をご提供している国内でも数少ない審査機関です。
中村 一明
自動車セクター規格 IATF 16949、航空宇宙防衛産業セクター規格AS/EN/JIS Q 9100を中心にモビリティ業界の規格を担当。
PAS 2060/ ISO 14068 カーボンニュートラル実証、ISO 27001情報セキュリティマネジメントシステム規格などモビリティに関連する規格サービスの総合提案を行っており、ISO21434 自動車サイバーセキュリティ規格、TISAX®審査サービスの立ち上げなど新規サービス開発も担当。