ナノマテリアルを含む医療機器
ナノマテリアルのメリットが認知されるにつれ、ナノマテリアルの医療機器における利用が広がっています。しかしながら、利用が拡大するということは、規制上の審査がより厳しくなってきているということも意味します。
ナノマテリアルは、Recommendation 2011/696/EU において「unbound or aggregate particles where at least half of the particles have external dimensions of 1-100nm」と定義されています。現行のMDD、AIMDD、IVDDにおいてはナノマテリアルに関連する明確な要求事項はないものの、新しいEU医療機器規則(MDR)と体外診断用医療機器規則(IVDR)には要求事項が登場し、ナノマテリアルを含む、またはナノマテリアルから構成された機器に対して特別なクラス分類ルールが適用されます。このリスクベースのアプローチにより、環境、生物学的、毒物学的リスクにおける現在のナノマテリアルの持つ不確実性に基づき、ナノマテリアルに対してはより詳細な審査が行われることになります。
製造業者は新規則の要求事項への適合を確実にするために、自社の機器におけるナノマテリアルの使用について明確にしておくことが重要です。ナノテクノロジーとナノマテリアルの毒物学に関する一般的なISO規格、およびナノマテリアルを含むか生成する医療機器の生物学的評価に関するガイダンスを示した技術レポート(Technical Report)は多数発行されています。しかし、医療機器におけるナノマテリアルに特化した規格は発行されていません。