お問い合わせ
Search Icon

Suggested region and language based on your location

    Your current region and language

    News

    BSIとWaterwiseが提携し水不足に関する調査レポートを発表

    水不足への取り組みは気候変動と並ぶ優先課題 
    2050年までに世界人口の75%が干ばつに直面する可能性を指摘

    循環経済の考え方が人々と地球を守るウォーターポジティブな未来を確かなものに

     

    BSI(The British Standards Institution、以下「BSI」)はWaterwiseと提携し、英国、米国、日本、中国、オーストラリア、フランス、ドイツの7ヶ国を対象に、水不足に関して信頼できる参照可能かつ追跡可能なデータを取得し、これを照合しました。そして調査から見えた課題と解決策をまとめたレポート「変化への渇望:ウォーターポジティブな未来を守る」(以下、「変化への渇望」)の日本語版を発表しました。

    世界の年間水使用量は、過去100年間で約3兆5,000億m3増加しており、米国や中国を含む主要国で水不足のレベルが急上昇しています。この問題に取り組むには、グローバルコラボレーションとイノベーションを通じて、水の循環利用を促進することが有効です。BSIとWaterwiseの最新の調査によると、そうすることで、干ばつリスクの軽減、気候変動対策における目標の達成、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に合致した社会開発の推進など、より広範なメリットがもたらされます。

    本レポート「変化への渇望」では、世界の二酸化炭素排出量の約10%が水の供給と使用に由来し、また干ばつは2050年までに世界人口の最大75%に影響を及ぼす可能性があり、今積極的に行動を起こさないと、気候変動危機への対応を怠ることと同程度に地球にとって有害であると指摘しています。

    「変化への渇望」は、水不足への取り組みが気候変動の抑制と同等の持続可能性を高める好機になり得ることを社会に認識させる、消費者が節水製品を選びやすくする、循環経済の考え方を浸透させるといった、社会としてこの課題に対処するのに役立つと思われる重要なステップを示しています。

    業務改善と規格開発を推進するBSIが、水の効率的な利用に関する主導的な団体であるWaterwiseと共同で行った調査には、40の地域における水不足を評価する指標が含まれており、米国、中国、インドが最も逼迫度が高いとされています。地球上には水が豊富に存在していますが、淡水として利用できるのはわずか0.5%(※1)に過ぎず、人口増加、気候変動、経済発展が相まって水の需要を押し上げ、持続的な供給を妨げる圧力が高まっていると「変化への渇望」は指摘しています。

    「変化への渇望」では、水管理の重要性が認識される中で明るい兆しも示されています。BSIが委託した調査によると、消費者の3分の2と、中小企業の経営者の80%は、きれいな水と水の衛生処理を「サステナビリティの一部(※2)」であると認識しており、さらに消費者の半数と中小企業経営者の44%は、それを世界の資源および対策を集中すべき問題のトップ5に位置づけています。

    BSIのChief Strategy & Transformation OfficerであるJonathan Chocqueel-Manganは次のように述べています。

    「水は地球の最も基本的で貴重な資源の一つです。私たちがこのパートナーシップを開始したのは、人々と地球のためになる解決策を提示することで、水の入手可能性を向上させる機会を明らかにするために私たちがどのように協力できるかの理解を深めることを目的としています。
    BSIでは、水が安心して手に入れられる未来を確実なものとすることは、二酸化炭素排出量を削減するのと同程度の大きな可能性を持っていることを理解しています。経営を改善することに集中している組織にとって、この議論を進めることで社会だけでなく企業にも同様に大きなプラスの効果が得られると考えています。」

    この調査では、水を賢く利用することで、世界のどこでも公平に水を入手できるようになり、貴重な生物の生息地の保護、気候変動や干ばつに対する耐性を高めるなど、重大な恩恵をもたらすことが明らかにされています。一連の提言は以下の通りです。

    1.  水の浪費を深刻な課題として捉えること:問題を認識して行動を起こす。公益事業会社は率先して水道網の漏水を削減する。
    2. 節水製品を購入しやすくし、持続可能な選択(サステナブル・チョイス)を可能にする:オーストラリアやシンガポールのように、製品に適切な規格に基づいた水効率利用ラベルシステム(WELS)のような表示を義務付けている国から学ぶことができる。
    3. イノベーションによってデータをさらに有効活用する:スマートメーターは節水の取り組みを革新する可能性を秘めている。
    4. 節水の文化を奨励する:家庭や職場など、さまざまな場所での水管理を通じて地球を守ることを優先する。
    5. 循環させる:新たに建築する建物では、水のリサイクルや再利用、雨水貯留などの技術を用いることとし、可能な限り水のリサイクルと再利用を標準化する。
    6. パートナーシップで影響を与える:政府や規制当局から水業界企業、そして最終的には水を使う私たち全員が、さまざまな当事者と共に努力することで、水の供給をめぐる増大する課題に対処することができる。

    コラボレーションと節水文化への動きによって足並みを早めることができます。「変化への渇望」では、個人、組織、社会が水不足に対処するために無理なく起こせる行動を示しており、これにはスマートメーターの利用拡大、新しい建物への代替給水システム(雨水貯留、雑排水のリサイクル)や持続可能な都市排水ソリューション(SuDS)の導入などがあります。

    BSI Centre of Excellence for Sustainability担当ディレクターであるMartin Townsendは、次のように述べています。

    「水は、最も基本的かつ貴重なものですが、過小評価されている資源の1つであり、私たちの世界をつなぐ青い糸です。水を賢く利用することは、人々の健康と生物多様性に富んだ自然環境の維持、十分な食糧供給の確保、経済成長への貢献といった重要なメリットをもたらします。しかし、水を賢く利用し効率的に管理するための行動を起こさなければ、水に対する需要は増え続け、持続可能性が損なわれることは明らかです。
    すでに多くの国々や個人が、水不足の影響や節水の重要性に深い関心を示していますが、今こそ世界中の人々が団結して、他の環境問題と同様にこの問題に注意を払うべきです。私たちが連携すれば、野心を行動に変え、持続可能な水の未来に向けた歩みを加速させることができます。」

    WaterwiseのCEOであるNicci Russell氏は、次のように述べています。

    「水は生命の根源です。しかし、人々、企業、そして環境のために水を確保するにおいては、私たちは地球規模で大きな課題に直面しています。国連の報告によると、世界人口の4分の1はすでに水ストレス下にある国に住んでいます。これまでのように暮らしていくことは難しいことが明らかになっています。これではもう持続可能ではないのです。
    解決策の重要なポイントは、家庭や職場で、今ある水を賢く使い、水の浪費をさけることです。そうすることで、緊急性の高い気候変動の影響に確実に適応し、ネットゼロ・エミッションを達成、さらに人々と企業が使用する水の供給を確保し、環境を保護することができ、よりよくしていくことができます。」

    BSIは、水管理の多くの分野で支援を行っています。その中には、あらゆる種類の生物学的、化学的、物理的、放射線学的危険性に対する効果的なリスク管理と制御の重要基盤である水安全計画(Water Safety Plan)が含まれています。

    レポートはこちらからダウンロードいただけます。
    URL: https://www.bsigroup.com/ja-JP/topics/sustainable-resilience/thirst-for-change/

     

    - 注記 -

    ※1:Whilst water is abundant on Earth, only between 1-3% is freshwater, of which approximately 0.5% is considered accessible (Water security is a national security issue: What's needed now, World Economic Forum, February 2023)

    ※2:Research conducted for BSI in 2023 by Malvern Insight & Yonder in May 2023. Consumers: Data based on 1,020 interviews (514 UK, 506 USA) with nationally representative sample. SMEs: Data based on 223 interviews (120 UK, 103 USA) with decision-makers within SMEs (up to249 employees).

    ■本調査について

    BSIはWaterwiseに委託し、多くの調査対象国について、水に関する供給量、使用量、効率/浪費に関する信頼性が高く、参照と追跡が可能なデータを収集し比較しました。「変化への渇望」で取り上げた国は英国、米国、日本、中国、オーストラリア、フランス、ドイツで、これらは国内で供給するよりも多くの水を消費している国であることに注目しつつ、小売、医療、建築など特定の業界の役割についても調査しています。できる限り各国間で比較可能な情報を収集しました。
    この調査は、Waterwiseの専門家チームによって設計され、米国水道協会、国際水協会、オーストラリア水保全局を含むWaterwiseの国際パートナーネットワークによる助言を取り入れています。
    「変化への渇望」内のWaterwise/BSI水不足指標は、40か国を7つの指標で評価し、7か国が最も高いリスクに直面していると評価しました。フランス、ドイツ、英国、オーストラリアのような国でさえも中程度のリスクにさらされていると警告しています。世界の都市人口は2050年までに67億人に増加することが予想されており、この「変化への渇望」は、経済発展と社会的ニーズを支え、国連の持続可能な開発目標を達成するには、水を賢く利用することが重要であると結論付けています。

    ■Waterwiseについて

    Waterwiseは、人々と地球のために水の賢い利用を提唱する英国の主要独立系NGOです。Waterwiseのビジョンは、水を毎日、どこでも、誰もが賢く利用できるようにすることです。私たちは、人と地球を代表する、水の効率性に関する英国の良心であり、水の効率性に関する政策、規制、研究、行動、キャンペーンの専門家です。Waterwiseは従業員の福利を優先し、人材に重きを置く組織です。