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    「AIに対する信頼度の格差」解消が 社会と地球に恩恵をもたらすカギとなる<br / >BSIが「AIに対する信頼度調査」を実施

    「インドと中国がAI活用で世界をリードする中、信頼の構築がカギに」
    「世界の5分の3の人々は、AIを安全に利用するための国際的なガイドラインを望んでいる」

    2023年11月6日

    本プレスリリースは2023年10月17日(英国時間)に英国で配信されたプレスリリースの抄訳版です。

    業務改善と規格開発を推進する英国規格協会(The British Standards Institution、以下「BSI」)が実施した調査において、中国とインドは、医療、食品安全、持続可能性などの分野で、人工知能(AI)の潜在能力を引き出そうと取り組んでいることが分かりました。その一方で、日本、英国、フランス、ドイツなどの主要国は、AI技術に対する国民の信頼の低さに起因する大きな信頼性格差に直面しており、AI活用という好機を逃すおそれがあることが明らかになりました。

    BSIが世界9か国の成人10,000人を対象に実施した「AIに対する信頼度調査(Trust in AI)」で、AIが社会をより良くする可能性に関する意識が明らかになりました。半数以上(52%)がAIにより医療診断の精度を向上させることで、誰にとってもより良い未来を形作ることができると期待を膨らませ、半数近く(49%)が食品廃棄物の削減に役立つと歓迎しています。さらに、52%はAIがよりエネルギー効率の高い建築環境の構築に役立つと回答しています。

    人々はAIがもたらすメリットについては認識しているものの、AIに対する信頼度は世界的にまだ低いままです。たとえば、食品の汚染を検出する際に人間よりもAIを信頼していると答えたのは世界全体のわずか4分の1であり、AIツールが診断や治療に利用されていることを患者に知らせるべきであると答えたのは69%、騙されやすい消費者にはAI関連の保護が必要だと感じている回答者は57%でした。また、57%が銀行取引に顔認識を使用するなど、すでに多くの人々がAI技術を使用していますが、ここにAIが使用されていることを認識している人はわずか半数にとどまっています。人々がAIへの理解を深め、その能力全体を享受できるようにするためには、教育が重要であると考えられます。

    BSIによるこの調査は、どうすればAIのイノベーションが進歩を加速させる要因になるかについての論考を集めた「Shaping Society 5.0」(※1)ページのために実施されました。本調査では、AI技術に対する信頼性を高めることの重要性が強調されました。AIは2030年までにどこにでも使われるようになると多くの人々が予想しています。たとえば、家庭の自動照明(41%)、自動運転車(45%)、旅行時の生体認証(40%)などです。また、回答者の4分の1以上の26%が7年以内にAIが学校で日常的に使われるようになると予想しています。

    世界全体では、回答者の5分の3(61%)がAIを安全に使用するための国際的なガイドラインを望んでいます。つまり、AIの安全かつ倫理的な使用を確実なものとし、信頼を醸成するためにはガードレールが重要であることを示しています。たとえば、カルテの倫理的使用に対するセーフガードは、世界の55%の回答者が重要だと考えています。

    AIとの関わりが著しく高いのは、経済成長率が最も高い2つの国です。(※2)すでにAIを毎日仕事で使用しているのが中国(70%)とインド(64%)で(世界平均は38%)、2030年までに自国の産業でAIが使用されることを期待していると答えたのは中国が86%、インドが89%と2国とも高い割合を示しています(世界平均は62%)。欧州は普及率が低く(イギリス29%、フランス26%、オランダ30%、ドイツ33%)、日本は最も低くなっています(15%)。中国では、国民の63%が2030年までにAIを家庭で使いたいと回答しています。

    現在、AIベースのテクノロジーの使用率が高いのは、やはり中国とインドですが、実際には世界中で急増しており、58%がAmazon Alexaのような音声アシスタントを使用し(中国では88%)、62%が過去の視聴履歴に基づいたおすすめプレイリストを楽しんでいます。しかし、世界的に見ると、これらのツールにAIが組み込まれているという認識が不足していることも事実です。AI技術が使われていることを知らないユーザーは、スマートフォンでは半数近く(48%)、音声アシスタントでは46%、おすすめプレイリストでは57%、チャットボットでは50%に上ります。

    AIを活用すれば明らかに社会の進歩が促されます。10人の回答者のうち3人(29%)は、2050年までに人間が環境に及ぼす影響を減らすことの手助けがAIにとっての最優先事項になると答え、28%はAIによる医療診断の改善に注力すべきと答え、5人に1人(22%)はAIが社会の公平性を高め、不平等を減らすことに貢献すべきと答えています。

    BSIの最高商務責任者(CCO)である、Harold Pradalは次のように述べています。

    「AIは変革をもたらすテクノロジーです。AIが世界をより良いものにしていく力となるには、信頼が重視される必要があります。
    AIを活用することで、社会にインパクトを与え、生活を変え、より良い未来と持続可能な世界に向けた前進を加速させることができます。AIに対する信頼感のギャップを埋めることが、最初に必要なステップです。AIの利点を実現し、Society 5.0を前向きな方法で形成するためには、教育が重要な役割を果たします。BSIは、AIが世界中で人々の日常生活に安全かつ信頼できる形で組み込まれていくことを保証する最前線にいることを誇りに思います」

    本調査では、約5人に1人(18%)は、AIの活用によってすべての人が週4日勤務をできるようにすることが優先事項だと答えています。一方、世界の半数以上(54%)が、AIの最も効果的な利用方法は、人が時間を割けない仕事をすることだと答えており、53%は、AIをトレーニングすることで単純作業など、一部の仕事を信頼して任せられると答えています。注目すべきは、男性と女性では職場におけるAIに対する見方が異なっている点です。世界の男性の約4分の1(24%)が、自分の仕事のすべての部分でAIを信頼しているのに対し、女性では16%にとどまっています。

    BSIのデータサイエンス・AI担当ディレクターであるCraig Civilは次のように述べています。

    「AIには我々の未来を形作る大きな力がある一方で、未知のものに対する不安も少なからずでてきます。この問題はAI技術を最大限に活用するために人間の関与が常に必要であることをよく理解し認識を深め、その使用を管理し信頼を築くためのフレームワークを確保することで対処できます。
    今こそ世界中が協力して、信頼性の高い適切に管理された方法でAIという偉大な力を持つツールを実際に使用する現実との兼ね合いを図る時です。信頼度の格差を解消し、適度な抑制と均衡を保つことで、生活や社会のあらゆる領域で単にAIを取り入れるだけではなく、大いに活用することができるのです」

    BSIは情報技術 - 人工知能 - リスク管理に関するガイダンス(ISO/IEC 23894)や、既存のガイドラインを活用した近日公開予定のAIガバナンス規格(ISO/IEC 42001)などデジタル技術に関する信頼性の分野で広範な専門知識を持っています。

    詳細はBSIのwebサイトをご覧ください(英語)。
    URL:https://www.bsigroup.com/en-GB/our-services/digital-trust/shaping-society-5-0/

     

    ※1:Society 5.0とは、日本政府が第5期科学技術基本計画においてはじめて提唱された概念です。経済と技術の高度化を両立させ、「超スマートなAIデータシステムで社会の課題を解決する人間中心の社会」を指します。この論考集では、目指すべき未来の社会モデルを指す言葉として使用しています。

    ※2:The International Monetary Fund, 2023

     

    本リリースに掲載される登録商標・商標は、それぞれの所有者にその権利が帰属します。

    ■調査方法について

    BSIは「AIに対する信頼度調査」を委託し、米国、英国、アイルランド、オーストラリア、中国、日本、フランス、ドイツ、オランダ、インドの9カ国の10,000人の意見を調査しました。調査は2023年8月にCensuswideが独立して実施しました。