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    BSI(英国規格協会)、抗菌薬製造における薬剤耐性リスクの軽減を目指す新たな認証制度を発表

    本プレスリリースは2023年6月5日(英国時間)に英国で配信されたプレスリリースの抄訳版です。

    英国、ロンドン - 業務改善と規格開発を推進する英国規格協会(The British Standards Institution、以下「BSI」)は、世界環境デーの6月5日、薬剤耐性(AMR)のリスク最小化に関する国際的な認証制度「抗菌薬製造規格」を新たに発表しました。この認証制度は、グローバルサプライチェーンにおける抗菌薬の責任ある製造を促進、証明することを目的に開発されたもので、水生環境有害性のリスクと薬剤耐性(AMR)の拡大を最小限に抑えることを支援します。

     

     

    この「抗菌薬製造規格」の認証を得ることは、国際的な抗菌薬サプライチェーンを構成するメーカーが、責任を持って抗菌薬を製造していることを保証するために必要な措置を講じていることを明示するものです。そして、抗菌薬含有廃棄物の排出による環境へのリスクを最小限に抑えることに貢献します。

    今回の発表は、2022年6月に発行された国際的に適用可能な業界標準規格に続くものです。この規格は、BSIがAMR Industry Allianceのために制定を推進しました。AMR Industry Allianceとは、AMRの拡大を抑制するための持続可能なソリューションを提供するという共通の目標を掲げた、ライフサイエンス業界の100社を越える企業と団体から成る組織です。
    BSIが開発した新たな認証制度は、この規格に対応したもので、独立した第三者機関によって、製薬メーカーが製造過程で抗菌薬の医薬品有効成分(API)や抗菌薬含有廃棄物を適切に管理しているかを検証します。また、本制度は、規格の要件に対する初回評価と年次調査を行い、認証時点での一時的な評価ではなく、長期にわたって適切な管理が継続的に実施されることを求めます。
    運用開始とともに、世界中のすべての抗菌薬メーカーがBSIの認証を取得できるようになります。Centrient、Pfizer、Roche、Sandoz、Teva、Viatris、Aenovaグループ傘下のHaupt Pharma Latinaといった、抗菌薬製造規格に準拠していることを示す客観的な証拠を求めている企業は、市場で最初に抗菌薬製造規格の認証を受けた企業となるべく、パイロットプログラムに参加しています。

    BSIとAMR Industry Allianceとのパートナーシップに加えて、パイロットプログラムに参加した企業は、技術評価プロセスの開発の評価に協力し、自ら認証作業に加わることにも関心を示し、サプライチェーンパートナーにも参加を強く促しています。
    本制度は、抗菌薬メーカーならびにサプライチェーンを構成する企業が、医薬品の持続可能な製造を優先させることを奨励するものであり、多くの製薬関連団体は、廃棄物管理プログラムをより広範な持続可能性プログラムの目標の一部に据えることができます。抗菌薬の廃棄管理は、医療システムの一般競争入札においても重要な要件となってきています。

    1920年代に、アレクサンダー・フレミングによって発見された現代の抗菌薬は、細菌感染症の治療や、外科手術中の感染予防として、現在も極めて重要な役割を担っています。しかし、AMRはその有効性を脅かし、結果として世界の公衆衛生に深刻な脅威をもたらしています。国連は、「AMRは、高額な治療費と慢性感染症により、2050年までに、2,830万人を極度の貧困状態に至らしめる可能性がある(※1)」と警告しています。
    製造工程から周辺環境への抗菌薬の排出は、AMRの発生と、人間を含む対象への感染を引き起こす複数の要因の1つです。世界保健機関(WHO)によると、AMRは世界の公衆衛生における脅威のトップ10に入っており、科学者による推定では、2019年に細菌性AMRの関連死亡者は合計495万人に上り、そのうちの127万人は細菌性AMRが直接的な死因とされています。(※2)国連環境計画(UNEP)が最近発行した詳細報告書では、「環境はAMRの発生、伝染、蔓延に重要な役割を果たしている」と結論付けています。

    BSIヘルスケアサステナビリティ、グローバルディレクターのCourtney Soulsbyは、次のように述べています。
    「BSIは、AMR Industry Allianceと提携し、この画期的な規格を開発したこと、そして今、責任ある医薬品製造を促進し、自然環境を保護し、薬剤耐性を抑えるための認証制度を開始したことを大変誇りに思います。製造プロセスにおける廃棄物の流れをより厳格に管理し、抗菌薬の環境への排出を制限しようとする試みは、薬の効能を維持し、患者の安全を高め、よりクリーンな生態系を支援することにつながります。
    AMRにより深刻化する脅威に対処し、製造プロセスから環境への排出を削減する重要な一歩を踏み出すことで、より持続可能な世界への進展を加速させるために私たちは協力し合うことができます。」

    BSI製品認証ディレクターのJoe Muratoreは、次にように付け加えています。
    「医師からよく言われることですが、将来的に抗菌薬を使用しても効果が薄れるか、まったく効かなくなる可能性があるため、非細菌性の感染症に対して抗菌薬を服用してはいけません。これは、製造過程での抗菌薬を含有する廃棄物の環境への排出を抑制することも同じなのです。そうすることで、感染症を治療する抗菌薬の長期的な有効性の維持につながります。」

    AMR Industry Alliance会長のJames Anderson氏は、次のように述べています。
    「抗菌薬の製造が、現時点で最も優れた科学的な規格を満たしていることを認証する制度は、薬剤耐性の拡大を阻止する上で重要なツールになります。本日、BSIとのパートナーシップにより認証制度を開始することは、抗菌薬のサプライチェーンに対して、より高いレベルの信頼と検証を実現するという製薬業界のコミットメントを改めて示すものです。これは、AMR Industry Allianceが過去5年間にわたって主導してきた活動に基づいており、AMRの発生リスクを低減するための世界的な取り組みの一環として、すべての抗菌薬メーカーに認証を取得することを奨励します。」

    Pfizer内部監査およびサプライヤーオペレーションEHSリード担当Dermot Dolan氏は、次のように語っています。
    「Pfizerは、抗菌薬含有廃棄物の適切な管理を支援するための新しい認証制度を設計するパイロットプログラムへの参加を大変嬉しく思います。この制度が業界全体へ広がり、採用されていくことを期待しています。抗菌薬の責任ある製造は、薬剤耐性(AMR)という世界的な健康リスクを防ぐための重要な柱であり、当社はこの分野でリーダーシップを発揮し続けることを約束します。」

    AMR規格および認証制度の詳細については、以下をご覧ください。
    URL: https://www.bsigroup.com/en-GB/blog/healthcare-blog/antimicrobial-resistance-and-how-standardization-is-driving-change/

     

    - 注記 -

    ※1:Antimicrobial Resistance Threatens Development, SDGs: Tripartite Report | News | SDG Knowledge Hub | IISD

    ※2:Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis - The Lancet

     

    ■AMR Allianceについて
    AMR Industry Allianceは、薬剤耐性を抑制するための持続可能な解決策を提供するために設立された最大の民間セクター連合の1つで、100を超えるバイオテクノロジー、診断薬、ジェネリック医薬品および研究開発型の製薬会社や協会が参画しています。そのメンバーは、ライフサイエンス業界全体の主要なサブセクターを代表し、AMRと闘うという共通の目標に向かって団結しています。
    また、このAllianceは、アクセス、適正使用、研究・科学、製造の4つの主要分野において行動を促進することに焦点を当てています。AMR Industry Allianceは、製造廃水中の抗菌薬の有効医薬品有効成分の排出を制御し、責任ある製造の実践を拡張するための製造業者向けガイダンスの開発とその実践を主導してきました。この活動は特にG7保健大臣に認められ、当Allianceや他の利害関係者と協力し、この規格に合意し浸透させていくことが約束されています。