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    BSI、最新のサプライチェーン・インサイトレポートを発表  2022年のサプライチェーンへのリスクは「犯罪組織」 「気候変動」「コンバージェンス(脅威の融合)」

    BSIグループジャパン株式会社(所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい、代表取締役社長:漆原 将樹)は、最新のBSIサプライチェーン・インサイトレポート「2022年の5つの重要課題」により、グローバルサプライチェーンにおいて、「犯罪組織」「気候変動」「コンバージェンス(脅威の融合)」がリスクとして浮上していることを明らかにしました。ビジネス改善企業で標準化機関であるBSIグループは、BSI独自のウェブベースのインテリジェンスシステム「Connect Screen」のグローバルデータの分析を基に、これらの脅威の重要性に関するインサイトを提供するとともに、リスクを軽減し対策を講じるためのベストプラクティスの分析と、実践的なガイダンスをまとめました。

     

    【グローバルサプライチェーンにおける主なリスク】

    ■犯罪組織―検証してから信用することの重要性

    新型コロナウイルスによるパンデミックは、世界中のあらゆる規模の企業に「適応することの重要性」を示しましたが、犯罪組織も例外ではありませんでした。BSIは2020年に、倉庫管理、輸送、流通に携わる正規の企業を装い、物流サプライチェーンに侵入しようとする犯罪組織が相当数存在していることを確認し、犯罪組織が増加している国での偽装運送業者の問題を指摘しました。さらにBSIは2021年にかけて、南アフリカにおいて、失業率の上昇が組織犯罪や貨物トラックのハイジャックの増加と密接に関連していることを報告しています。2021年上半期に失業率が32.6%に上昇したため、ハイジャック犯罪も約24.6%[1]増加しました。

    同様に、世界中の麻薬カルテルもよりクリエイティブになっています。BSIでは、ヨーロッパにおけるコカインの押収数および押収量が2020年と2021年に着実に増加しており、2022年も引き続き増加すると予測しています。エクアドル、ブラジル、コロンビアの犯罪組織は、大量のコカインをヨーロッパの港に出荷しています。ベルギーのアントワープ港とオランダのロッテルダム港は、ラテンアメリカからのコカインの最多・最大の押収量を記録していますが、アイルランド、フランス、モンテネグロ、ギリシャでは著しい量の出荷停止があり、麻薬カルテルのルート多様化が一段と明らかになっています。麻薬密売市場はラテンアメリカとヨーロッパの間だけでなく、BSIはアジア、中東、アフリカ、北アメリカからも多数の麻薬が押収されたことを記録しています。

    これらの問題において、企業はサプライヤーを採用する際の適切なデューデリジェンスを行う必要性があると考えます。企業のサプライチェーンのエンド・ツー・エンドのリスク評価を行うことにより、世界中における個々の企業との提携に潜むリスクを軽減することが重要です。

    [1] 南アフリカ統計局: http://www.statssa.gov.za/?p=14415

     

    ■気候変動―サプライチェーンのグリーン化

    世界中の企業が、気候変動の影響から自社のサプライチェーンを守り、より環境に優しい未来に向けて自らの役割を果たすことを求めています。進化し続ける規制環境の中でESGコンプライアンスを維持するには、サプライチェーン全体への影響を考慮する必要があります。例えば、BSIは2021年に、複数の業界にまたがる少なくとも18社が、アマゾンの森林破壊を助長している企業から製品を調達していることを確認しました。このような関連性は、企業に重大な風評被害をもたらし、最終的には収益の低下を招く可能性があります。

     

    さらに2021年は、平均以上だった出荷遅延の傾向が回復したものの、8月に米国で発生したハリケーン「アイダ」や9月に中国で発生した台風「チャントゥ」に起因した、グローバルサプライチェーンの混乱により、カリフォルニア州の施設に到着する貨物の頻度が低くなり、累積的に様々な遅延を引き起こしました。これにより、米国の輸入量の約3分の1を占めるロサンゼルス港とロングビーチ港に新たな負担がかかりました。気候変動によって自然災害の発生頻度が高まることが予想される中、企業はこのような不安定な状況の中で、従来のサプライチェーンのパートナーをはじめ、手法や技術を見直し、その先を見据えた施策を講じる必要があります。

     

    ■コンバージェンス(脅威の融合)―積み上がる課題

    サプライチェーン全体におけるリスクは、組織が事業継続性、持続可能性、企業の社会的責任(CSR)、セキュリティなどの個別の検討事項を包括的に対処せず、それらが相互に関連していることを認識していないというリスクです。事業継続の脅威はセキュリティの脅威につながることもあれば、その逆もあり得ます。

     

    半導体の世界的な供給不足は、その典型的な例です。台湾は、世界の半導体チップ製造能力の約90%を有しており、その過剰な依存が世界的な半導体不足を招きました。さらに、2020年4月から7月にかけて台湾で発生した干ばつや新型コロナウイルスの感染拡大などが生産能力に影響を与え、世界的な供給不足に拍車をかけています。6月には、香港で高価な半導体チップを輸送中のトラック運転手の助手が犯罪グループに襲われ、65万ドル相当の貨物が盗まれる事件が発生するなど、セキュリティ面での懸念もありました。また、半導体の模倣品の横行も指摘されています。ある日本企業が自社の半導体の流通を調査したところ、30%以上が模倣品だったことが明らかになりました。

     

    コンバージェンスに対応するには、企業がコラボレーションを強化し、組織のすべての部門とそのパートナーがサプライチェーンに対する統合的な脅威を理解し、チームが協力してそれに対処することが必要です。

    企業は、グローバルサプライチェーンの状況と、その進化し続けるダイナミクスが将来にどのような影響を与えるかについて、明確なインサイトを持つことが不可欠です。

     

    ■結論

    進行中のパンデミック、不可逆的な気候変動、進化し続ける規制制度、複数のビジネス課題の集約は、組織が困難な決断を迫られていることを意味します。組織は積極的かつ先見性を持って、変化を受け入れる必要があります。組織にとって、サプライヤーのパフォーマンス監査は重要であり、サプライヤーがそれぞれビジネス関係を正しく管理していることを確認する責任がある、ということを理解する必要があります。

    私たちを取り巻く課題の収束に取り組むには、組織内だけでなくバリューチェーン全体で、モノの相互関連性を十分に理解することが極めて重要です。そして、柔軟で拡張性のあるフレームワークを確立し、変化を恐れるのではなく、むしろ変化を歓迎する文化を醸成することです。前例のない気候変動を背景に、企業は進化し続ける規制に迅速に対応し、これまでとは異なる方法でサプライチェーンを理解する必要があります。企業が世界的なパンデミックから学んだ教訓を活かしてよりレジリエントになろうとする中で、「消費者行動の変化」と「自動化」は、注視すべきもう一つの重要なトレンドです。2022年は、再び重要な年になることを確信しています。

     

    ▽BSIの最高経営責任者(CEO)、スーザン・テイラー・マーティン(Susan Taylor Martin)のコメント:

    「ここ数年、グローバルサプライチェーンにスポットライトが当てられ、私たちの日常生活におけるサプライチェーンの重要な役割が強調されています。このような前例のない状況下で、サプライチェーンは今年が勝負の年となり、経営陣にとって優先的に取り組むべき課題とする必要があります。2022年は、サプライチェーンの重要性が高まることは明らかであり、今、企業が取るべき措置が、その企業の“成功か失敗か”を決めることになるでしょう。」

     

    ▽BSIのチーフコマーシャルオフィサー、ハロルド・プラダル(Harold Pradal)のコメント:

    「サプライチェーンの脅威は、2022年もグローバル企業が直面する最も深刻な問題のひとつです。広範囲にわたる製品不足や、トラックドライバーを含むオペレーターの不足などは、現在進行中のグローバルサプライチェーンの危機における氷山の一角に過ぎません。メーカーや運送会社はすでにこれらの問題に対処するために多大な努力を払っていますが、こうしたサプライチェーンに属する組織たちは、より頻繁で被害の大きい自然災害や、より機知に富んだ犯罪カルテルなど、さらなる脅威のコンバージェンスに対してますます脆弱になっています。サプライチェーンのリーダーがこれらの脅威に総合的かつ迅速に対処しない限り、消費者は現在の課題の長期化や悪化の影響を受けることになるでしょう。」

     

    ▽BSIのグローバル・インテリジェンスプログラムマネージャー、ジム・ヤーブロウ(Jim Yarbrough)のコメント:

    「新型コロナウイルス、気候変動、自然災害などの多くの課題に対処し続ける中で、組織やグローバル・コミュニティへの影響が集中してゆくのを目の当たりにし、サプライチェーンの混乱や脅威がもたらす広範な影響と、その複雑さを過小評価しないことが重要だということがわかります。私たちにとって、グローバルな生活基盤の重要な一部であるサプライチェーンの健全性を守るために、ビジネスリーダーたちは、サプライチェーンを破壊する恐れのある最新のリスクに先んじて対応しなければなりません。BSIは2013年から毎年、サプライチェーン・リスクレポートを発行していますが、ビジネスリーダーや意思決定者にとって、サプライチェーンは今、かつてないほど注意を払うべき重要な事項になっているといえます。」

     

    ■BSIサプライチェーン・インサイトレポート「2022年の5つの重要課題」(英語版のみ)について

    本レポートでは、今後1年間にグローバルサプライチェーンに影響を与えるトレンドと関連するリスクを特定し、組織がレジリエンスを獲得するために、次の5つの重要なテーマを紹介しています。

    1. ビジネス成功の鍵を握るサプライヤーの透明性

    2. 環境・社会・ガバナンス(ESG)規制環境の変化

    3. 「痛点」の全体的な理解

    4. ビジネス課題の「収束」への対応

    5. 新たなトレンドにおける機会の特定

     

    BSIサプライチェーン・インサイトレポート「2022年の5つの重要課題」(英語版のみ)は、次のリンクよりダウンロードください: https://www.bsigroup.com/en-GB/our-services/consulting/supply-chain-risk/supply-chain-reports/

     

    ■BSIについて

    BSIは、組織がベストプラクティスの基準をエクセレンスな習慣に変えることを可能にし、「よりレジリエントな世界を目指し信頼性を高める」ことを企業目的とする、ビジネス改善企業であり、標準化機関です。BSIは、1世紀以上にわたり、世界中の組織においてベストプラクティスを推進してきました。世界195カ国、77,500社以上のお客様と取引し、自動車、航空宇宙、建築環境、食品、小売、医療など、あらゆる分野にわたるスキル及び経験を持つ真のグローバル企業です。BSIは、ナレッジソリューション部門、アシュアランス部門、レギュラトリーサービス部門(医療機器認証)、およびコンサルティング部門における専門知識を通じて、お客様のパフォーマンスの向上、持続的な成長、リスク管理、および最終的にはレジリエンスを高められるよう支援します。

    URL: http://www.bsigroup.com/ja-JP/