組織は、差別禁止や平等に関するイニシアティブをしばしば社内で実施します。このインタビューでは、BSIのクライアントマネージャーであるMatthew Scottが、社会的弱者にもインクルーシブなサービスを提供することのメリットについてご説明します。
この記事を読むと、次のことがわかります。
• 顧客の脆弱性を理解することが組織にどのようなメリットをもたらすか。
• 信頼の文化を創造する上で幹部が果たすことのできる役割。
• インクルーシブなサービスを創出するための実践的対策。
• 消費者脆弱性に関する国際規格はどのように役立つか。
顧客が「脆弱な立場にある」とは、実際にどのような意味なのですか。
Matthew Scott: 「脆弱性は誰にいつ影響を及ぼすかわかりません。そして、すべての顧客の状況はそれぞれ異なります。健康状態、資産、能力から、人生で起きる単発的な出来事まで、人の境遇に影響を与える要因は実にたくさんあります。
「顧客の脆弱な状態は、永続的な場合もあれば、一時的、散発的かもしれないし、長期的か、あるいは短期的かもしれません。また、極端な状況や複雑な状況下では急激に変化するかもしれません。
「新型コロナウィルスの感染拡大中は、それまで自分が弱者だとは思っていなかった人たちが、突然病気になったり、失業したり、孤立したりしました。
「どのような理由であれ、人々が脆弱な状態にある場合、組織と取引をする際に傷つくリスクが高まる可能性があります。共通の目標は人道的な取り扱いです。
インクルーシブなサービスを提供することがなぜ重要なのでしょうか。
Matthew Scott: 「組織は、顧客の脆弱性を理解することによって多様なニーズに対応できるようになります。
「組織にとってもメリットがあります。例えば、次のような可能性があります。
• より多くの人々がサービスにアクセスできるようになった結果、顧客基盤が拡大する。
• 顧客とのコミュニケーション、顧客満足度、顧客からの信頼が改善される。
• 従業員が高く評価され、サポートされていると感じ、困難な状況にも対処する自信を抱く。その見返りとして忠誠心が高まる。
• 差別禁止と平等に関する法的義務を遵守することができる」
組織はどうすれば公平で敬意に溢れたインクルーシブなサービスを創出できるでしょうか。
Matthew Scott: 「目標を行動に移し、公平で敬意に溢れたインクルーシブなサービスを提供することを目的として、組織はそれを実行するための国際的なベストプラクティスの指針を参考にすることができます。
BSIは、この分野の国際規格「消費者脆弱性」の開発に協力してきました。(以前はBS 18477と呼ばれていた)この英国規格は、2022年に国際規格として採用され、BS ISO 22458と呼ばれるようになりました。。
この規格は、インクルーシブなサービスの設計と提供に関する要求事項と指針を定めた「ハウツー」ガイドのようなものです。
「この規格は、顧客の脆弱性の背後にある根本的要因を網羅し、組織がインクルージョンを拡大するために障壁を克服する方法を示しています。
現在、この規格を使用しているセクターや組織はどこですか。
Matthew Scott: 「英国のユーティリティプロバイダーとその監督機関は、すでにこの規格を採用し、先導的な役割を果たしています。これらの組織や機関は、そのセクターの脆弱な立場にある顧客の重要性を認識し、OFGEM(エネルギー監督機関)のような規制当局はコンプライアンス目標を定めています。
「この規格が2022年に国際規格となって以来、他の業界もその価値を認め始めています。例えば、債権回収、執行、モビリティ・輸送、小売、銀行・保険等の金融サービスです。
上級幹部は、どのようにすればインクルーシブなサービスを提供するために必要な文化を形成できるのでしょうか。
Matthew Scott: 「幹部にできる最も重要なことの一つは、脆弱な立場にある顧客のアウトカムを改善するという明確なコミットメントを示すことです。これは、インクルーシブなサービスを提供するために必要な文化に影響を与え始めます。
「BSIの顧客脆弱性規格に示された原則に従うことは強力な基盤になります。継続的なエンゲージメント、従業員研修、コミュニケーションを通じて、幹部はそのアプローチを組織全体に浸透させることができます。
脆弱な立場にある消費者を優先するためのアドバイスをお願いします。
Matthew Scott: 「個人、組織、社会に大きな利益をもたらす可能性がある6つの対策をお教えしましょう。
1.製品とサービスを評価する。脆弱な立場にある顧客に害を及ぼす可能性がある場所はどこでしょうか。
2.従業員のことを考える。従業員はこの分野でしかるべき研修を受けたでしょうか。必要なツールを持っているでしょうか。
3.連携して動く。多くの場合、慈善団体や地域団体は、多くの素晴らしいアドバイスや、地域社会の脆弱性に関する生の情報を持っています。これらの団体が、あなたの組織で意識向上のための研修を提供してくれるかもしれません。
4.基本事項を整備する。製品ラインが充実し、優れたカスタマーサービスが付属していることを確認してください。
5.すべてをシンプルにする。製品、サービス、料金を不必要に複雑にすると、特に脆弱な立場にある人たちは利用しにくくなる可能性があります。
6.顧客を理解する。これこそが、適切な製品とサービスを提供し、顧客のニーズを満たし、脆弱性に対処する鍵です」
「BSIの脆弱性規格に照らした認定の申請は、British Gasが行った最善の取り組みの一つでした。それは実に厳しい評価プロセスでしたが、本当に効果を生む事柄に焦点が当てられていました。私はこれを強くお勧めします」
— Steve Crabb(Centrica、消費者脆弱性担当)