情報通信技術(ICT)部門は、半導体製造の世界的な拡大を大きく受け、近年かつてないほどの成長を遂げています。
この急成長に伴い、組織やサプライヤーには新たな扉が開かれます。ICTにおける持続可能性の領域を掘り下げ、この分野における環境・社会・ガバナンス(ESG)価値の向上にどのように貢献できるかを把握する機会が生まれるのです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によってサプライチェーン全体で操業停止と混乱が生じたとき、半導体市場はデバイス市場の需要の急増に追いつくことができませんでした。
製造の正常化に向け、世界中で数十億ドル相当の投資が行われる中、欧州連合(EU)では欧州半導体法の一部として€150億が官民の半導体プロジェクトに拠出されました。
一方、米国でCHIPSおよび科学法により、国産の半導体、ソーラーパネル、電気自動車製造のための政府補助金や奨励金として520億ドルが確保されました。
ICTのサステナビリティの問題
このような巨大な製造プロジェクトが活性化するにつれて、ICTにおけるサステナビリティへの挑戦はますます差し迫ったものになっています。ICTのサステナビリティを確実にすることは、将来の世代にとって極めて重要です。
半導体製造業界は、それだけでも世界の温室効果ガス (GHG) 排出量における相当な分を占めており、いくつかの研究によれば30%を超えるとされています。また、電子機器への需要は増える一方です。
半導体製造には大量の水と原料が必要で、原料はたいていは採掘作業によって採取されます。鉱業には環境への影響や非倫理的な労働慣行といった課題があり、サプライチェーンにそのような疑問がつきまとう中、ICTのESGに注目が集まるのは当然のことといえます。
では、ICTにおけるサステナビリティは、遠い目標ではなく、当たり前のものになり得るのでしょうか。
ICTにおけるESGの重要性
アムネスティ・インターナショナルや世界中の学術団体と協力する独立非営利団体「ビジネスと人権リソースセンター」は、現状では、ICTハードウェア部門は、そのサプライチェーンの影響に対処できていないと報告しています。
大手企業は人権へのコミットメントを強化していますが、ビジネスと人権リソースセンターは、ほとんどの企業はサプライチェーンにおける購買慣行の影響を十分に考慮していないと指摘しています。このことにより、ESGへの投資に関して、デューデリジェンスとさらなる努力の必要量について懸念が生まれています。
しかし、ICTにおけるESGとはどのようなものでしょうか。それは、製造プロセスにサステナビリティへの取り組みを統合するだけにとどまりません。ICTのサステナビリティには、責任ある原材料の調達、倫理的な労働慣行の推進、サプライチェーンにおける社会的・環境的リスクへの取り組みが必要になります。
検討すべき分野はたくさんありますが、ICTにおけるESGは、ICT製品製造と関連産業においてサステナビリティを構築するための貴重な方法となり得ます。
ICTにおけるサステナビリティのメリット
ICTへのサステナビリティの受け入れには、地球や社会に利益をもたらす可能性があるだけではありません。
ICTのサステナビリティとESGを深く理解することで、その評判を高め、社会的意識の高いパートナーをその軌道に引き入れ、サステナビリティを重視する傾向が強まっている市場において競争優位を得られます。
目的主導型の組織になることで、半導体やその他のICTハードウェアメーカーは、ICTにおけるESGのグローバルリーダーへと成長できます。
これほど大きな需要が市場にある以上、ICTにおけるサステナビリティの導入は、お客様の組織、この分野の将来、そして世界に大きな影響を与える可能性を秘めているのです。