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    科学実験室で座って共同作業をしている研究者たち
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      ヘルスケア

    サステナブルな医薬品の設計と評価

    医薬品の設計、製造、流通における環境要因の統合と評価の重要性を探りましょう。

    マクマスター大学の最近の研究によると、 世界の製薬業界は気候変動に大きく影響を与えているだけでなく、世界の自動車メーカーよりも多くの温室効果ガスを排出しているとされています。

    同調査では、2025年までに、気候変動に関する国際条約であるパリ協定で定められた目標を達成しようとする場合、製薬産業では2015年レベルからの排出原単位を約59%削減する必要があると分かっています。

    したがって、製造業界の企業には、医薬品の設計、製造、流通の際に、温室効果ガス(GHG)排出量やその他の重要な環境配慮事項をどのように削減できるかを再考する機会があると言えます。

    医薬品のライフサイクルにおける環境要因の影響評価

    BSIの製薬部門グローバル・ディレクターであるコートニー・ソウルズビーは、医薬品の有効性と患者の安全性を重視する製薬部門では、現在、環境要因が医薬品のライフサイクル全体にわたって考慮されるようになっていると語っています。これには、公害につながるおそれのある有害物質の排出、温室効果ガス排出、包装や物流における循環性などが含まれます。

    患者の安全性と医薬品の有効性と環境への配慮の両立という課題を解決するには、製造から患者の服用、廃棄に至るまで医薬品のライフサイクルをまんべんなく網羅できるように、ヘルスケアのエコシステム全体から専門知識を結集する必要があります。

    また、製薬業界にこのような変化を促している外部要因もあります。英国のNHSなど、より成熟した医療システムの調達においては、医薬品の商業入札における環境要件の定義がより体系的になってきています。

    ソウルズビーはこう述べています。「製品の環境フットプリントは、近い将来、コスト、安全性、有効性といった検討事項と同じように、調達の意思決定に影響を与えるようになるでしょう」

    また、従来の医薬品の環境への影響をさかのぼって変更するという問題もあります。これは、サステナビリティを新しい製品やプロセスの設計に組み込むこととはまったく異なる課題です。

    定義と整合

    BSIは中立的なファシリテーターとして、ヘルスケアエコシステム、ヘルスケアシステムの規制当局、政府の政策立案者、製薬メーカーと提携し、医薬品の環境影響を測定する方法の定義についてサポートを提供しています。

    ソウルズビーはこのようにコメントしています。「医薬品の設計、製造、調達、処方における環境への影響の測定に必要なものを共同で定義する余地はまだあります。

    「私たちはこのプロセスにおいて長い間パイオニアを務めてきました。私たちはこの課題に取り組むためのコミュニティを構築しており、また、規格はすべての利害関係者のコンセンサスを得る役割を果たすでしょう。

    「私たちは、医薬品メーカーや医療システムが、医薬品の温室効果ガス排出係数、公害の影響、グリーンケミストリーの組成、包装やプラスチックのリサイクル可能性などのベンチマークや比較を行えるようにすることで、このプロセスにおける信頼の代弁者となることを目指しています。

    「これは、規制当局、政府、調達担当者、製造業者、サプライチェーン関係者など、ヘルスケアエコシステムが、製薬業界という重要な部門において製品ライフサイクル評価のベストプラクティスを共同定義することにより、コラボレーションの機会となります」

    このプログラムではヘルスケアエコシステム全体から専門知識と知識を結集しし、医薬品の環境影響を設計、評価、測定するための技術的検討事項に関するコンセンサスを得ます。

    治療の先にあるもの

    ソウルズビーによれば、BSIは環境製品規則の定義に共通の手法を導入しています。それは、環境的な障害をただ克服するだけでなく、機会を生み出すプロセスです。

    「共通の言語と測定方法を持てば、製造環境における温室効果ガスと有害物質汚染の削減により、持続可能な変化を具体的に推進することができます。

    「コンセンサスとコラボレーションを通じ、製薬企業は入札環境において前進するチャンスを得られます。なぜなら、環境への影響に関するデータを誰もが信頼できるようになるからです。そのため、人々はデータに焦点を当てて改善を推進し、利害関係者の信頼を高めることができます」