現代の奴隷制度に対する対策
National Gridは、給与、労働時間、生活条件、労働条件に関する期待値を設定する上で、組織が大きな役割を果たしているという点を強調します。バリューチェーンの中で最も弱い立場にある人々に関して、これは特に言えることです。
社会的責任を真摯に受け止め、それを着実に実行し、正しく測定している組織は、利益をはるかに超え、ビジネス上で賢明な意思決定を下しています。これらの組織は、ビジネスに関わる国際的な倫理問題に取り組んでいるのです。
現代の奴隷制度に関するリスクマネジメント
奴隷労働は強制労働とも呼ばれ、搾取的な条件のもとで、しばしば脅迫、暴力または騙しにより本人の意思に反して強制的に働かされる重大な人権侵害を意味します。
この慣行は、雇用を選択する自由や、公正な賃金と労働条件に対する権利といった労働者の基本的権利を否定するものです。
多様なセクターにまたがる現代の奴隷制度
多種の業界や多数の国々に現代の奴隷制度が広く存在していることから、この問題に取り組むことは極めて重要です。
強制労働の撲滅に取り組む組織にとって、徹底したリスクアセスメントを実施し、サプライチェーン全体でオープンなパートナーシップを確立することは必須です。このような取り組みを進めることにより、組織は倫理規範を維持し、サプライネットワーク全体で従業員の権利と尊厳を守ることができます。
従業員の脆弱性を評価するにあたって、組織が検討すべき重要な側面は次の4つです。
地理的条件:一部の組織は、労働規制が不十分な国のサプライヤーやパートナーとつながりを持っています。しかるべき法的監視が行われない限り、こうした場所の従業員は簡単に詐取される可能性があります。
差別:性別、宗教、民族等の要因に起因する差別 は、人々を奴隷労働の犠牲にする危険性があります。季節労働者、オンコール労働者、15歳未満の児童の就労、社会的に排除された層や政治的に不安定な社会で周辺に追いやられている人々の集団も、差別的慣行よるリスクにさらされています。
汚職・腐敗:現代の奴隷制度と、倫理基準が脆弱な組織または腐敗行為に関与する組織との間には、往々にして顕著な相関関係が見られます。取引先の企業が贈収賄防止ポリシーや管理体制を設けていない場合、組織は注意すべきです。
サプライチェーン:総合的なリスクアセスメントを行うとともに、サプライヤーとの透明な関係を確立すれば、サプライチェーンにおける奴隷労働の発生を減らすことができます。組織は、サプライネットワークを徹底的に把握することによって、サプライヤーと協力し、有効な苦情処理の仕組みや不正行為の報告手段を確立することができます。
現代の奴隷制度という複雑な課題に対処するためには、これらの分野での積極的な取り組みが必要です。
効果的なリスクポリシーの啓発
非倫理的な行為の撲滅は、上級管理職の力強いコミットメントから始まります。幹部が組織の価値観、原則、報告制度に関して合意すれば、そのポリシーを組織全体で採用することができます。
効果的なリスクマネジメントポリシーを策定するために、組織が取ることのできる対策をご紹介しましょう。 例えば次のような対策です。
幹部のコミットメント:上級管理職のサポートを取り付けてください。幹部が支持を打ち出すことにより、組織全体がリスクマネジメントを優先する雰囲気になります。
価値観の明確化:幹部は協力し合い、組織の行動を導くコアバリューと倫理原則を定めなければなりません。これらの価値観が、意思決定とリスクアセスメントの羅針盤になります。
告発機構:あらゆるレベルの従業員が、非倫理的な行為、潜在的リスク、または違反を申告できるような、体系的な告発のフレームワークを構築します。このプロセスにより、透明性と説明責任が保証されます。
組織全体での導入:価値観、原則、告発機構について合意が形成された段階で、そのポリシーは組織全体で採用されるべきです。
これらの対策を守ることにより、組織は、効果的なリスクマネジメント、および業務全般での倫理的行為のための強固な基盤を築くことができます。
社会的責任に関する新規格
「現代の奴隷制度への組織的対応(BS 25700)」は、非政府機関、企業、学術界、公共部門を含む全世界の第一人者の皆様のご意見を取り入れました。
この規格は、リスクマネジメントおよび反奴隷制度専門家の専門知識を参考にしています。
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