トレンド、機会、脅威を事前に特定し、計画することができれば、それらへの対処について事前のアプローチをとることができます。そこで役立つのがホライズンスキャニングです。
食品・小売部門では、ホライズンスキャニングを活用することにより、食品生産の動向や、食品生産に影響を及ぼすと予測される事件、あるいは食品偽装の可能性に関する情報を得られます。気候変動はその一例で、特定の原料の入手可能性を低下させたり、価格を押し上げたり、 詐欺のリスクを高めたりする可能性があります。
ホライズンスキャニングの種類
しかし、ホライズンスキャニングには具体的にどのようなプロセスがあるのでしょうか。 国連の食糧・農業機関は、3種類のホライズンスキャニングを定めています:
• 手動スキャン
手動スキャンはおそらく最も一般的に使用されている形式であり、特定の問題に関連するさまざまな情報源に目を通し、調査することを意味します。手動スキャンは、一貫した構造と頻度がある場合に最も効果的で、任意の期間における推進要因とトレンドの追跡・特定が可能です。
これと並行して専門家の検証を求めることで、手作業によるスキャンだけのときに比べてより強固で実行可能な結果が実現します。
•ベスト・ワースト・スキャン
ベスト・ワースト・スキャンは通常は医療技術に適用され、資金援助のための主要技術の優先リストの作成に用いられます。優先順位は、あらかじめ設定された基準について専門家の意見を収集することで決定されます。
ベスト・ワースト・スキャンでは専門家による知識と定量的分析を大量に得られる一方で、有用な結果を得るためには調査対象者に多くの時間を割かせる必要があります。
• 専門家によるコンサルティング
専門家によるコンサルティングの方法にはいろいろありますが、一般的には、対面、オンライン、またはアンケートを通じて専門家から意見を収集し、特定のトピックに関連するトレンドや推進要因を特定するのが主流です。
ほとんどの場合、このコンサルティングは、専門家が強調した新たな問題への優先順位付けに用いられます。
振り返ることで前進する
ホライズンスキャニングを効果的に行う上で必要なものは将来予測だけではありません。組織の歴史を振り返ることも、効果的なトレンド追跡において重要な役割を果たします。過去ログ、過去の傾向、先行研究の調査、これらはすべて今後の展開の予測に役立つものです。
過去と将来の両方に目を向けることで、組織では新たな課題の特定と最初に行動する機会の取得を通じ、課題を回避または軽減するための業務方針の策定を実現できます。
意思決定プロセスにおいて早期に特定、評価、優先順位付けを行っておくと、定期的に変化する食品安全要件に効果的に対応することができるようになります。また、事前のリスク軽減計画を策定することで、問題が発生する前に管理できるようになります。つまり、ホライゾンスキャニングを導入することで、どんなことが起こっても対応できるようになるのです。